血液検査及び凝固検査における検査前過誤の要因
抗凝固剤及び 採血管
一般血液検査(血球数算定など)用抗凝固剤としてはEDTA-2K、凝固検査用抗凝固剤としてはクエン酸Naが最も多く用いられる。いずれの抗凝固剤が入った採取用試験管も検体注入後5回以上穏やかに転倒混和する。混和不十分の場合には凝血塊や血小板凝集塊が形成され、過度の激しい混和では溶血が生じる。
  • EDTAはキレート作用により好中球アルカリホスファターゼ(NAP)を失活させる為、NAPスコアの判定には適さない。
  • ヘパリンは血小板凝集を起こすため、自動血球計数機で測定すると血小板数が1/2~1/3に減少することがある。
  • 凝固検査用検体は9:1の比率で全血とクエン酸Naを混和するのが原則であるが、概ね規定量の±10%以内であれば許容範囲内である。検体量が少ない場合や多血症検体(ヘマトクリット55%以上)では被検血漿に対して相対的にクエン酸Na濃度が高くなる為、各種検査結果は総じて低値(凝固時間では延長)となる。
  • 血清FDPの測定には専用採血管が必要である(血漿FDPは一般的な凝固検査用採血管で検査可能である)。
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