微生物検査における検体採取についての注意点
血液

最近は、培養を自動培養装置で行い、菌の発育によるCO2の検出などで陽性の感知を行う様になってきていますので、血液培養専用のボトルで提出します。好気性菌用・嫌気性菌用と2本がセットになっている物が多い様です。ボトルには培養に適したガスを充填してあるものがあり、不用意に何度も注射針を刺し入れると、ガスが抜けてしまう恐れがあります(使用しておられる血液培養ボトルをよく確認して下さい)。

検体接種(採血)まではボトルは冷蔵保存し、採血の際は室温に戻してから使用します(冷たいまま接種しますと、微生物が死滅する恐れがあるからです)。接種した後は決して冷蔵しないで下さい。なるべく体温に近い温度で保温するのが望ましいです。採血に当たっては採血部位の消毒に十分注意し、皮膚などの常在菌混入を避けることが大切です。

血液専用ボトルには培地の成分が含まれてはいますが、通常血液以外の検体は接種しないで下さい。採血した血液成分が入る事で、微生物の発育を促進出来ると考えられますので、血液以外の検体では微生物が発育しない又は発育が弱くなる事も考えられます。

採取直後の検体は培地で希釈される為、培養で菌量が増えるまでは鏡検での検出率は低いと考えられます。ですから、普通血液培養の塗抹鏡検は培養陽性確認時以外は行いません。採取する血液は、静脈血でも動脈血でも培養成績に違いの無いことが報告されています。

検査成績について、病原性の強い菌が検出されれば、原因微生物の可能性が高いと考えられますが、常在菌混入汚染の可能性のある微生物が検出された時には注意が必要です。抗菌薬の投与がある場合は、微生物の発育が抑えられる可能性があるため、投与中止24時間経過後に採血する事をお勧めします。また、抗菌薬投与を中止できない場合は、抗菌薬の血中濃度が最低レベルにあると思われる次回投与前に採取(採血)して下さい。

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